理念をまとめるにあたり、私の歩みをまとめてくださいと依頼を受けた。思えば23年前、どの家族も疲れ果てて塩谷にたどり着いた。情報のない状況の中で、まさしくたどり着いた。苦悩を聞いて下さる人がいた。理解して下さる人がいた。心やむ多くの方々が一緒に歩いて下さった。まさに「理念」の根本テーマは「共に生きる」である。
苦悩する人々と共に歩もうとするとき、お互いの関係を通して、今日の生き方の答えを見出すことが多々あった。これは人間にとって、大きな回復であると確信します。不思議なことに「共に生きる」群は、助け合い補い合って生活することが自然なうちに積み重なっていった。私自身、まことにそうであった。どの方も、どの方も精一杯、自分を引き受けて、今日を生きる姿勢を見出し感銘を受ける歳月だった。まぎれもなく多くの方々と、苦しんだ方々と「共に生きる」を大切に生きたのである。
元常務理事 斎藤順子